2026-08-03 「40℃」が当たり前になる時代 ~社会課題は、未来のビジネスチャンスになる~
今年の夏も、各地で40℃に迫る猛暑が続いています。
昔は「異常気象」と呼ばれていましたが、最近では「今年も暑いですね」という会話が当たり前になってきました。
気温が1~2℃上がるだけなら、大した変化ではないと思われるかもしれません。
しかし、社会インフラという視点で見ると、その影響は決して小さくありません。
道路の舗装は傷みやすくなります。
橋梁やコンクリート構造物も劣化が進みます。
水道管や電力設備も、これまでの想定を超える負荷を受けることになります。
つまり、猛暑は単なる「暑さ」の問題ではなく、日本の社会基盤そのものに影響を及ぼす問題になってきているのです。
<更新の時代が始まる>
日本は高度経済成長期に大量のインフラを整備しました。
道路、橋、水道、下水道、港湾……。
しかし、それらの多くは建設から50年以上が経過し、更新時期を迎えています。
コスト削減を最優先にしてきた結果、更新が後回しになっている設備が少なくありません。
特に大阪にいると、そのことを強く感じます。
道路だけではなく、耐用年数を超えた水道管なども、その代表例でしょう。
今後、社会を維持していくためには、これらを計画的に更新していかなければなりません。
<政策も大きく変わり始めた>
私はここ数年、日本の政策を見ていて、大きな転換点を感じています。
これまでは財政健全化を重視し、公共投資を抑える方向が続いていました。
しかし現在は、骨太の方針などでも、社会インフラや国土強靱化への投資を積極的に進める方向性が明確になっています。
これは単なる景気対策ではありません。
老朽化した社会基盤を維持しなければ、日本社会そのものが成り立たなくなるという現実を見据えた政策転換なのだと思います。
<最大の課題は「人が足りない」こと>
しかし、ここで新たな問題があります。
更新する人が足りないのです。
建設業界でも、点検業界でも、慢性的な人手不足が続いています。
人口動態はすぐには変わりません。
今から人口増加策を打ったとしても、その子どもたちが社会で活躍するのは20年後です。
つまり、この20年間は、人が足りないことを前提に社会を設計しなければならないということです。
<生産性を上げるサービスに大きなチャンスがある>
だからこそ、これから必要になるのは「人を増やすこと」ではなく、「一人当たりの生産性を上げること」です。
BMS神戸ユニットの会員企業、株式会社プロネット様では、まさにその発想でサービスを開発されています。
道路の白線や黄色線(区画線)の摩耗状況を、ドライブレコーダーの映像をAIで解析して把握する技術です。
通常であれば専用車両の導入や新たな設備投資が必要になるところを、多くの人がすでに持っているドライブレコーダーを活用することで、効率的な点検を実現しています。
私はこの発想に大きな可能性を感じました。
新しい機械を作ることだけがイノベーションではありません。
すでに社会にあるものを組み合わせ、新しい価値を生み出すことも立派なイノベーションなのです。
<全てを守ることはできない>
もう一つ、現実として向き合わなければならないことがあります。
日本中のすべてのインフラを、これまでと同じように維持することは、おそらく不可能です。
人口が減少する中では、コンパクトシティの推進、公共施設の統廃合、限界集落との向き合い方といった議論は避けて通れません。
感情的には難しいテーマですが、限られた人材と予算の中で社会を維持するためには、どこかで選択と集中が必要になるでしょう。
<社会課題は、未来のニーズでもある>
私は経営者として、「困っている人がいるところにビジネスがある」と考えています。
人口減少、猛暑、老朽化したインフラ、人手不足。
どれも社会課題です。
しかし見方を変えれば、それだけ長期間にわたって存在し続けるニーズでもあります。
<世の中のニーズを知る>
政策の方向性を知る。
人口動態を知る。
そうした情報を組み合わせることで、「これから20年、必要とされるサービス」が見えてきます。
短期的な流行を追いかけるのではなく、社会構造の変化を読み解く。
その視点を持つことが、息の長いビジネスをつくる第一歩なのではないでしょうか。
<私からの提案>
このコラムで一番お伝えしたいのは、「政策を読む」「人口動態を読む」「社会課題を読む」ことが、次のビジネスを生み出すということです。
経営者は目の前の仕事だけを見るのではなく、10年後、20年後にも続くニーズを探す視点を持つことが重要です。
そして、そのヒントは、実は日々のニュースや政策の中に数多く隠されています。
