2026-01-26 資源立国への一歩――深海6000メートルに挑む日本の決意

日本が「資源大国」になる。かつては夢物語と思われたこのフレーズが、いま、現実味を帯び始めています。きっかけは、日中関係の緊張に端を発した、レアアースの禁輸措置への懸念です。

2010年、尖閣諸島付近での中国海警との衝突事件を契機に、中国はレアアースの輸出を事実上制限しました。日本はそのとき、素材開発、リサイクル技術、輸入先の多角化など、官民を挙げた対応で難局を乗り越えました。今回もまた、同様の備えが求められていますが、その対応のスケールは一段と大きなものとなっています。

現在、日本は南鳥島沖の深海6000メートルに眠る「レアアース泥」の試掘に挑んでいます。過酷な海洋環境と技術的困難を乗り越えて、自前での資源確保を目指すこの取り組みは、まさに国家的挑戦と言えるでしょう。もしこれが成功すれば、日本は安定した希少資源供給の拠点となり、国際交渉力も飛躍的に高まるはずです。

ここで、あらためて日本の国土について考えてみましょう。日本の陸地面積は世界61位に過ぎず、全体のわずか0.29%程度。しかし、排他的経済水域(EEZ)を含めた海洋領域では、世界第6位の広大さを誇ります。この「海の国土」を国富の源泉として活用できれば、日本の持つ潜在力と影響力は格段に増すことになります。深海資源の活用は、その象徴的な一歩と言えるでしょう。

資源、国土、地政――いずれも大国の条件とされてきた要素です。日本はそれらを欠いたまま、勤勉さと技術革新で世界有数の経済大国となりました。しかし今、自前の資源を持つという新たなカードを手にしつつあります。これは、日本の地位を再定義する大きな転機になるかもしれません。

とはいえ、試掘から実用化までの道のりは平坦ではありません。コスト、環境影響、国際的な枠組みとの調和――越えるべき壁は多くあります。しかし、困難が大きいほど、それを乗り越えた先にある可能性は広がります。資源輸出国としての立場を築きつつ、地球規模の課題に貢献し、平和的外交の主導権を握る。そんな未来を日本が描くことができるとすれば、それは世界にとっても希望となるはずです。

一方、国際情勢はますます不安定さを増しています。ロシアによるウクライナ侵攻、そして年明け早々に起きたアメリカのベネズエラ急襲。中国もまた、台湾への併合の動きを強めています。いずれも、かつての常識であった国際法の尊重をかなぐり捨て、力による現状変更を是とする動きです。こうした流れの中で、日本はその位置的特性から、望むと望まざるとにかかわらず、巻き込まれることは避けられません。

これらの難局を乗り切っていくためにも、日本は国として、より強くならねばなりません。軍事力のみならず、経済的・資源的な自立性を高め、いざというときに国益を守れる基盤を築く必要があります。深海資源の活用は、その一環として極めて重要な意味を持つと考えます。

この挑戦の行方は、単なる資源確保にとどまらず、国のあり方そのものを問い直すものとなるでしょう。勤勉で平和主義、お人よしな日本が、世界的な潮流をつくるポジションにつくことは、戦争を遠ざけ、よりよい未来の探索に大きな意味を持ちます。私たち経営者もまた、この動向を注視し、どのような新たな事業機会や国際連携が生まれるのか、常にアンテナを張っておく必要があります。未来を切り拓く力は、どこか遠くではなく、私たち一人ひとりの眼差しと行動から生まれるのだと、あらためて感じています。