2025-10-27 高市政権の所信表明に見る 2026年のビジネス潮流
高市政権が誕生しました。日本初の女性総理が、長らく続いた緊縮財政からの転換をすることに対する期待が高い支持率に表れているように見えます。
右寄りの政治家と評されることもあるものの、所信表明演説を聞く限りではイデオロギーよりも、経済政策による成長戦略を中心に据え、まずは減税や負担軽減で景気浮上させる方針が前面に出ていました。
BMSはビジネスに向き合う団体ですので、外交・憲法などを除き、経済に関わる8分野に絞って要点を拾い、中小企業が今から打てる手を添えて整理します。
1)物価高・家計支援・税制
2)成長戦略(危機管理投資)
3)食料安全保障・農林水産の産業化
4)エネルギー安全保障・GX
5)令和の国土強靭化
6)地方創生・地域経済
7)労働市場・人口
8)社会保障・医療
各項目ごとに気になるところだけ補足・考察してみます。
1)物価高・家計支援・税制
ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止を今国会で目指す、廃止までの間は補助金で価格を下げる、103万円の壁の年末調整で160万円まで対応、医療・介護の診療報酬等へ賃上げ・物価高を反映する前倒し支援など、可処分所得と事業継続を同時に下支えするメニューが並びました。特に物流コストの低下は広範な産業にかなり効くと予想されます。
様々な政策がかみ合えば、(個人的願望込みで)来年の日本国民の購買力がある程度伸びると考えます。すべてが消費に回らなくても、近年の国民の貧困具合から貯蓄に回るよりは消費に回されるほうが多いと思いますので、30年間続いた停滞を抜け出し一気に経済成長するのではないかと予想します。多くの産業にとって、ビジネスチャンス到来といえるでしょう。
中小企業向けに、生産性向上、事業承継・M&A環境整備、取引適正化で賃上げ・設備投資を後押し、とあります。生産性向上かつ賃上げに動く企業の設備投資に対して、補助金・助成金が大きく付くことが予想されます。今後の補助金・助成金についてアンテナを張るとともに、自社で必要としている設備投資に対してよく考えておきましょう。
米国関税の影響を受ける中小向け資金繰り支援等で影響緩和とありますので、今年度中に輸出事業に小さく着手しておくことで、来年度の資金繰りがかなり楽にできる可能性があります。
2)成長戦略(危機管理投資)
「危機管理投資」を成長のエンジンにというスローガンのもと、食料・エネルギー・健康医療・安全保障・国土強靭化などのキーワードに対して、幅広く予算配分されると予想されます。
流行りのAI関連、全業種共通の課題である人材、などはかなり重点的に後押しされると考えられます。
中小企業のBCPや減災IoT、AI一次受電・問い合わせ自動化などのビジネスがねらい目かと思います。
3)食料安全保障・農林水産の産業化
高市総理の今までの発言を鑑みるに、この分野への思い入れはかなり強いと感じます。
植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析などを使った、一次産業の高度化や、その周辺産業は今後加速するでしょう。一次産業はすでに平均年齢が70歳を超えている分野もあり、残された時間も少ないため数年でがらりと産業の形態が変わる可能性があります。
選別~出荷トレーサビリティの分野や、記録のDXなどIoTが、業界の変化を後押しする可能性があります。BMS梅田にてプレゼンのあったRFIDなどの技術が、本格的に入ってくるなど、流通業界からの産業構造の変化もあり得ます。
4)エネルギー安全保障・GX
この分野は、原子力・次世代炉・核融合など大きな話が多いため、中小企業でできる小額投資ではなかなか参入の難しいかと思いますが、利水権などの既存の制度にメスが入ることにより小規模水力発電などが活性化する可能性はあり、6)の地方創生などと相まって爆発する可能性あるので、法制度の変更などにアンテナを張っておきたいところです。
ペロブスカイトを使った商品が建材などに実装されれば裾野の広い業界なので、販売・施工などで関わる企業も出てくるかもしれません。
当面中小企業が目先で取り組める話としては、空調・冷蔵の制御最適化などでしょうか。
5)令和の国土強靭化
災害大国の日本では、これほど正しい投資はないと個人的に感じています。
中小企業向けには2)でも書いたBCP関連のサービスが後押しされると思われます。
首都バックアップ、首都機能分散・多極分散型経済圏は、現在の維新との関係性から大阪に注目せざるを得ないです。維新の悲願、大阪都構想が副首都構想に形を変え、復活なるか。この関連の動きは短期的ではないので、次の選挙と絡んで徐々に中身が見えてくると思いますが、不動産やインフラ関連などの事業者は投資先を真剣に検討すべき局面です。
6)地方創生・地域経済
TSMC・Rapidusの成功事例に乗っかって、他の分野での産業クラスター生成に大きな投資がされる可能性が高いです。この動きはアンテナ立てておくと数年先の需要を描きやすくなるでしょう。
2)3)5)などの政策と合わせ、首都圏一極集中から、地方への人口移動の後押しや、地域に雇用の受け皿を育てるための予算配分が予想されます。
ワーケーション関連の事業や、一次産業×テック系事業などは注目が集まるところですし、様々な事業が育つ可能性があり、アイデア次第で急成長が見込める所です。
地域×テックは観光・福祉・物流・加工など、多くの分野で展開が見込めます。
広域連携という着目点でも中小企業のサービスの入る余地は多いと考えます。
7)労働市場・人口
子供・子育て周りの支援は、子ども家庭庁の動向と合わせて注視したいところです。少子化の根本原因は若者の所得が少ないことによる結婚控えと考えられるので、最低時給の切り上げなどは今後も続くのでしょう。数年で改善するとは思えない分野なのですが、それだけにこの市場周りでの産業支援は手厚いものになりそうです。
右派と見られがちな高市総理、違法行為・ルール逸脱あたりは厳しくなりそうですが、今から20年程度で1億人を切るという人口動態の中、外国人材の受け入れそのものは失速しないのではないかと予想しています。
人材周りの研修事業などはまだまだ伸びしろの多い分野かと思います。
在宅、短時間労働、ダブルワークなどの切り口でもビジネスチャンスはありそうです。
8)社会保障・医療
税・社会保障の一体改革の議論が、維新の参加で加速されそうです。国民皆保険制度は、日本の安定の基盤なので、慎重な議論が望まれますが、この制度改革が進めば、保険業界が大きく影響を受けると考えられます。
昨今、病院がつぶれそうなほど厳しい診療報酬体系だったものが大きく方向転換が予想されます。医療・福祉周りのお金の流れは、今後数年で大きく変わる可能性があるので、アンテナを立てておくべき領域です。
こうして考えてみると、所信表明演説一つでたくさんの可能性が見えてきます。政策は“追い風”にすぎません。追い風に乗る構えを早期に作れるかが勝負です。
いずれのビジネスも中小企業1社で取り組むと、時間が掛かり、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性が高いのですが、中小企業だからこそできるジョイントベンチャーでお互いの足りない所を補い合って、ビジネスの展開を模索していきましょう。そのためのステージとして、BMSをお使いいただければ、これに勝る幸せはありません。
先月の中国出張に続き、今月はタイ・ミャンマーと出張に行ってきました。本当は海外ネタを書きたいのですが、大きな動きのあった政局に振れないわけにもいかないため、泣く泣く先回しにし、今週も政治ネタを書かせていただきました。
